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マッサージに来る人々


元マッサージ師の雑記帳。思いつくままに。

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マッサージ師という仕事
マッサージに来る人々

マッサージに来る人々

マッサージを受けに来る様々なタイプの人々に出会ってきた。特に印象に残る人々のことをお話したい。

8年前。当時、90才のAさんは元教師だった。人格の高い方で、接しているこちらの心まで穏やかにしてくれる。

頭脳明晰で若いころは医学部で学んでいたそうだが何かの縁か教師の道に入ってしまったようだ。官僚のだんな様と結婚し子供にも恵まれ人々から羨望をうける生活である。

でもある時だんな様が浮気をしてしまい、相手の女性の家に乗り込んでいったそうだ。本来なら修羅場なのだろうがAさん 度量が深く、浮気相手の女性に向かい「あなたが悪いのではないのよ。うちの夫が全部悪いの。」といたわりの言葉をかけたそうだ。一見恵まれているようでも波乱は誰もがあるのだ。

そんなAさんにある時失礼かなと思いながらも質問してみた。


僕 「90歳って月日は相当長く感じます?」 


Aさん 「あっという間よ。ほんとに人生なんてあっという間!」
     微笑みながら穏やかな口調でおっしゃった。

その言葉に感銘を受け人生一瞬一瞬大切に生きようと思ったものだ。


Bさん当時85歳。接骨院の主。ご意見番的存在。毒舌・悪を装っているが思いやりの深い人であった。ある日,Bさんがお茶でも飲みに行こうと誘うので気軽についていくと、話し始めると機関銃のように早口になり、よく内容が分からなかった。

しかも同じことを繰り返し話しているようだった。1時間後もうそろそろ僕にも所用があったので話を切り上げようとする仕草をすると必ず「それでね!」と語尾を強く、話をつぎ帰らせてくれない。そんなことで3時間が過ぎて しまった。放って置けば半日話を聞かされることになる。それ以降お茶のお誘いは口実を作り丁重にお断りしていた。

するといつしか批判を流し始めた。「先生(僕のこと) まじめすぎるよ!付き合い悪いよ」と大声で接骨院の中で話し 始める。だって、毎日3時間以上話し相手になるのは現実的に無理だよ〜。

しかし当時の若気の至りで理解できなったのだが人と接していたい、私の話を聞いてほしい、私の気持ちを知って欲しいという一人暮らしの年配者の方の気持ちが今はほんの少しだけ想像できるようになった。

ほんとうに寂しいのだ。


Cさん当時80歳。明るい霊能者。「この世は苦の娑婆だよっ」「生きるのは容易じゃないよ!」が口癖。決してこの言葉を聞いて辛気臭くならなかった。お仕事柄あらゆる人の人生を垣間見てきた結果のきめ台詞なのだろう。

この方、ある晩の入浴中、穏やかなお顔で天に召されたようだ。Cさんらしい人生の終焉。


もはや怖いものなしの年配者の方。特に女性は粋が良い!強い!圧倒される。

普通の仕事では接することのできない個性的な人にお会いする機会に 恵まれている。時に深みのあるお話を聞いていると、あたかも自分が実際に経験したような気持ちになり得をした気分になる。そんな時、まぁ、マッサージ師をやっていて良かったかなーなどと思っていました。


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